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仁科広嗣の「新歴史の研究」 ●THE NEW HISTORY EYES●

仁科広嗣の「THE NEW HISTORY EYES」は人類の史書を後世に残すミッションを帯びており、新しい視点での歴史の検証を追究していきます。<潮流戯画手帖>

THE NEW HISTORY EYES...Vol.0007


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THE NEW HISTORY EYES
Presented by hirotsugu nishina


Vol.0007…「広告代理店不要不急の時代」


「米国広告業界事情。報酬制度見直しの動き広まる」。米国のコカ・コーラ社は年間の広告予算30億ドル(3000億円)の大広告主だが、広告会社への報酬の制度見直しで、ある年の春には全米広告業界に衝撃が走りました。当時は世界同時不況で、世界の広告業界は史上まれにみる背水の陣に立たされていた。リーマンショックの後、米国では七万人ほどの広告マンが解雇。広告業界の不振は今に始まったわけではなく、好景気のころからその行く末が懸念されていた。その理由のひとつに、100年も続いてきた業界のビジネスモデルが、インターネットをはじめとする激動化するメディアの流れに取り残されつつあるということ。ふたつ目の理由は、広告費が広告の効率と効果に見合っているか、広告主の精査が厳しくなって来たこと。広告費の投資収益率や成果責任をより厳しく求める広告主の存在性が顕著になり、報酬制度見直しの動きが大きくなっている。全米広告主協会によると、広告会社の65%は、「フィー制度」(広告主の仕事に携わり、またはサポートする広告会社の社員の給料の合計を時間で割り、それに作業に必要な時間を掛けたもの)を採っているといわれている。振り返ってみると、フィー制度の前まで米国の広告業界はマスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)に使われる広告費の15%の高額なコミッションを受け取っていたのですが、80年代半ばに高額なコミッション制度に不満をもつ広告主が激増し、彼らは広告会社に作業料と報酬が妥当な割合で計算できるフィー制度の導入を要求していた。その後90年代に定着。そして近年、安定していたかにみえたフィー制度にも暗雲が。フィーが仕事の効率や質とは何の関係もないという新たな問題が発生した。米国でのコカ・コーラはこれまでのフィール制度を廃止して、バリューベースの報酬制度に移行することを全米広告主協会(ANA)の経営管理会議で発表された。バリューベースは、広告会社が広告主のビジネス貢献度、キャンペーン・発案・意匠・作品は良かったか、マーケティング戦略は正しかったか、ブランドや社の知名度、売り上げ実績は上がったか・・・。そういった価値が広告主で精査され、それに見合う報酬制度のことをいう。広告主が納得してよい評価ならフィーより20~30%高い報酬が支払われ、ダメな評価なら広告会社には何も支払われない。日本の場合未だにコミッション制度に固執し続けているわけですが、これからは日本の市場に参入している外国の広告主、国内の広告主の圧力で、バリューベース制度に移行せざるを得ない状況になる可能性は大きいと思う。対岸の火事はすぐ飛び火してくるので日本の広報・広告業界の心構えだけはしておいたほうがいいだろう。電通は日本ではガリバー的存在だが、世界的には無名の広告会社として捉えられている。広告会社は世界的には一業種一社制が基本とされているが、例えば日本では、ドコモもAUソフトバンクも同じ電通グループの企業で扱われているし、同一業界のライバル企業同士の広告をかき集めている。そこに歪な産業形態が生まれ社会問題化している。新型コロナウイルスでの政府の政策をいち早く囲い込み、公金をつかみ取りする光景は、昔広告代理店業界に在籍していた者としては恥じ入るばかりだ。持続化給付金の業務を請け負うサービスデザイン協会はトンネル会社のようだし、電通グループに資金は行き渡った。併せてGO TO キャンペーンの扱いのほとんどをかっさらっていく姿は、ガリバー企業にはふさわしくない。2020東京五輪が2021では中止になる可能性は日ごと世界的に感染が拡大している状況を見ても、どんどん高くなってきている。電通は経営面から見ても相当な打撃を被るに違いない。だから、官庁への介入の度を強めているのだろう。電通への国民的な批判もピークに達している。日本でも広告業界の未来には暗雲が漂っている。