仁科広嗣の「新歴史の研究」 ●THE NEW HISTORY EYES●

仁科広嗣の「THE NEW HISTORY EYES」は人類の史書を後世に残すミッションを帯びており、新しい視点での歴史の検証を追究していきます。<潮流戯画手帖>

THE NEW HISTORY EYES...Vol.0018


NEXT U.S.A. 2021

 

THE NEW HISTORY EYES

Presented by hirotsugu nishina

 

Vol.0018…「ドナルド・トランプの戦略とU.S.A.の未来」

 

 2020年の米国大統領選挙が終わった。11月14日現在、全州での選挙人獲得数が決まった。バイデン候補が306人(7633万票)、トランプ候補が232人(7143万票)だが、トランプ氏は前回を800万票上回ると言うが、バイデン氏は前回のヒラリー・クリントン候補の時よりも1000万票を上回るので、今回は反トランプ票が雌雄を決した形になった。日本のマスメディアはトランプ大統領の抵抗などで2021年での次期政権への課題ばかりを報じるばかりだが、その裏では、米国と中国の以前からの経済連携の充実化が図られている。キッシンジャー氏は少なくてもこれまで80回くらい中国要人との会談をしている。2018年の中間選挙後では習近平氏と会談を行っていることはあまり知られていない。トランプ氏は共和党の重鎮であるキッシンジャー氏には頭が上がらない。米国の大統領職は企業では社長にあたり、その上に国際コンサルタント会社(キッシンジャー・アソシエイツ)なるものが存在する。そのトップがヘンリー・キッシンジャーなのだ。

 トランプ大統領とはいえ、彼らのひとつの駒に過ぎない。ゴルフ中でも連絡はあるはずだ。選挙後は法廷闘争で引き延ばし、下院議会での採決でも大統領になれる裏技を狙っているようだが、共和党が強いペンシルベニアの州会議でも選挙結果については介入しない模様だ。他の州でもそれに追随する公算が強い。その戦略は頓挫する。たとえそれで大統領になっても世論は許さないはずだ。三権分立の機能がしっかりしていながら、法の抜け道があり正義の道も閉ざされる法律が、未だに民主主義の総本山で存在しているのはなんとも残念だ。そういう意味では法のあり方については後進国とたいして変わらない見方をされても仕方があるまい。トランプ氏は一般人になれば、数々の刑事訴追が待っている。多額の借入金もあり、脱税疑惑や地位を利用した利益誘導、ロシア疑惑などもある。

 考えられる大きな可能性、その第一としては、トランプ氏の自作自演での自己恩赦だ。トランプ大統領が電撃辞任をし、自分自身が自分を恩赦する。バイデン氏はトランプ氏への恩赦は絶対しないと公言しているが、政権移行が上手く行かない場合は、そうとも言っていられない。それはもう水面下で交渉しているかもしれない。バイデン氏が恩赦を施すとなれば民主党内に批判が殺到して、支持者からもそっぽを向かれるかも知れない。それでも敗北宣言はどうしても必要だ。背に腹は変えられない。そこで、取引を成立させ、玉虫色の敗北宣言をするシナリオは排除できない。U.S.A.でもここまで法の不備があるとは努々思わなかった。  

 トランプ大統領が描いているもう一つの大きな可能性、その第二のウルトラCだ。たぶんこういうシナリオもありえる。2021年の1月20日正午をもって、米国はバイデン新大統領とハリス副大統領が新たに統治するが、トランプ大統領心神喪失を理由に突然辞職し、ホワイトハウスから去る。トランプ氏の海外逃亡・亡命の可能性もないではない。突如国防長官を解任したのは何らかの意図があるかもしれない。そこでペンス副大統領が第46代大統領に就任する(就任期間はわずか)。または、大統領代行となる。それと同時にトランプ大統領に恩赦を与える(大統領の特権としての免責)というものだ。そうなると、バイデン氏は第47代大統領(ペンス氏の介入があったとしての話だが)と言うことになる。マスメディアではあれこれ言ってはいるが、これが現実的なやり方だと思う。大統領を目指したいペンス氏は共和党の威信を損ね、ババをつかまされたという悲壮感は残るが、これはペンス氏がトランプ氏への犠牲心と世論の批判への覚悟があるかどうかに掛かっている。そのかわり米国の歴史には彼の名が大きく刻まれる。

 トランプ大統領は7000万票を獲得し、その人気度なら2024年に再出馬しても勝てるかも知れないと息巻いてはいるが、果たしてそうだろうか。離れた側近が戻ってくる保証はないし、岩盤支持層や熱狂的な支持者の熱も維持されていくかどうかも分からない。共和党でも有力な若手はたくさんいるし、突如彗星のごとく魅力的な候補が今後現れているかもしれない。個人的には、民主党共和党のどちら側に付くものではないが、前下院議長のポール・ライアン氏には期待している。将来大統領になったら、作家トム・クランシー作のジャックア・ライアン・シリーズとも重なる。2012年のミット・ロムニー共和党大統領候補の副大統領候補として、オバマ氏の再選を追い詰めた実績もある。同じ共和党員といえどもライアン氏はミット・ロムニーとともに今でもトランプ氏とは一線を画している。トランプ氏は生粋の共和党員ではない。目の前の利益が最優先され、支持者への問いかけは優れてはいるが、白人貧困層への面倒見はこの4年間をみても良いとは言えない。現にラスト・ベルト地帯の有権者は前回2016年の時にはトランプ氏に投票したが、2020年の今回は隠れバイデン票になって、激戦州でのキャスイティング・ボートを握った。ポール・ライアン氏は現在議員を引退しているが、将来的には大統領選を視野に入れているとみている。真に嵐の前の静けさだ。勝手な想像だが、2024年はカリスマ性のあるライアン氏とカマラ・ハリス氏の一騎打ちとなっているかも知れない。トランプ大統領政治団体への自動還流を基にした献金寄付を呼びかけてはいるが、選挙での票が前回を上回ったからといって、2024年での共和党からの立候補は必ずしも勝ち取れるとは限らない。バイデン政権が事の他スムーズに行けば支持層は増えるだろうし、トランプ氏を見限る有権者も数多くなっている可能性があるからだ。

 習近平氏の母校である清華大学経済管理学院(中国のMITとも呼ばれハイレベルのMBAが取得できる)の顧問委員会には、米国の蒼々たるメンバーがそろっている。キッシンジャー氏をはじめ元財務長官のポールソン氏、ゴールドマンサックス・JPモルガンゼネラルモーターズ他スペースX社のイーロンマスク氏、FBのザッカーバーグ氏などの各CEOが中国との経済連携を促進し、中国2025では半導体の70%を国内でまかなう。一帯一路でも米国の後押しがある流れがあることは覚えておこう。トランプ氏の中国との些細な政治・経済紛争で沸き返ってはいるが、実は米中は水面下では手を握っている。マスメディアのうわべだけの情報を頼ってばかりでは現代と未来の世界は読み解けない。