<戦国小姓の令和見聞録0011>
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尾屋形様:上杉道満丸景虎
見聞録検め:小姓
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◆天正四百五十一年 三月五日
令和の日の本にもまだ戦国時代の興行が行われているとは尾屋形様も関心を持っておいでじゃ。安土城では信長様が相撲の興行を楽しんでいるのを見たことがあるが、400年後でも力士は当時のままの姿なのには拙者も驚いておる。200キロから100キロ以下までの無差別級の面白い試合でござるのう。見ていても胸がスカッとする。貴人らもそうであろう。それもそのはず、柔道やレスリングやウエイトリフティングなどでは体重で細かな階級ごとの試合があるが、それでは面白くない。小兵力士が大きな力士を負かす醍醐味があるから観客に喜ばれるのじゃ。それには戦国の下克上の風潮と似たところがある。信長殿は大相撲興行の先駆者ともいえる。令和五年では横綱がおらぬ。照ノ富士殿はもう引退されてよろしかろう。幕下以下まで陥落してよく返り咲いたものだ。貴景勝殿は尾屋形様の叔父を慕っておいでのようじゃが、尾屋形様の父君の敵にござれば良い想いはせぬ。一月場所では優勝されたが、押し一手では横綱の地位は難しかろう。もしなっても長くは続かぬ。これから期待できるのは、若隆景、若元春、琴ノ若、豊昇龍、翔猿、などが凌ぎを削って角界を背負って行くはずじゃ。興行には八百長や忖度が発生しやすいが、今の相撲にはガチンコでの体当たりがほとんどだから面白い。女子も子供も男子にも人気があるのは当然じゃの。人気力士を春日山城に連れて行って興行するのも良いかもしれん。尾屋形様に上奏しようと考えておる。さすれば、領民たちの楽しみも増え、文化も豊かになるやもしれぬ。そうは思わぬか。。。
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