<天正戦国小姓の令和見聞録0170>
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お屋形様:上杉道満丸景虎
見聞録検め:小姓
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◆天正四百五十一年 十二月十一日
「2024年以降の大谷翔平殿の死角と杞憂」
大谷殿はFAでドジャースとの10年大型長期契約1,000億円超えはMLB史上初ということじゃが、拙者は決して手放しでは喜べぬのでござる。エンゼルスで6年間専属通訳との一心同体で球団へのわがままを通させて、怪我と手術をしつつも二刀流の実績を積み、人気もうなぎ登りのままFAの交渉に臨んだが、大谷殿は名門ドジャースを選んだ。エンゼルスの上層部との軋轢もさることながら、肘の二回目の手術もあり、2025年まで投手としての再開はまたなければならぬ。契約の10年の間には三回目の手術は十分あり得るし、案外ドジャースでは打撃不振の兆候が訪れないとは限らぬゆえ、長期のスランプでも温かな声援は必要じゃろう。これまでの6年間の成績をそのまま残せれば球団側としても投資の見返りはあると思うが、現実的には怪我と共存しながら数字を残せるかどうかでござる。
2023年のアメリカン・リーグの打撃部門は精彩がなかったが、ナショナル・リーグは本来の大リーグらしいランキングでござった。大谷殿がその中でMVPを勝ち取るのは至難の業とみるべきじゃ。ドジャースでは主力の指名打者がおるが、ローテーションでの選手間の相互の軋轢がチームワークを乱し、思うような勝利を収められないケースもあり得る。2025年に大谷殿が投手に返り咲いたとしても、これまで中五日の主力の投手陣に悪影響を及ぼさないとも限らぬ。チームでの不協和音が拡がり、ポストシーズンまで迷走するケースも予想されるのじゃ。大谷殿には右肘のハイブリッド手術で回復は従来の手術より早いと申されるが、もし再度のトミー・ジョン手術になったら選手生命は終わるかもしれぬ。そういう大きなリスクがあっても、ドジャース球団は払えるかどうかも分からぬ史上最高額の契約で迎えいれたのだから、大谷殿にとっては嬉しかろうて。途中で右肘がだめになっても1,000億円は懐に入ってくるのじゃ。税金で半分以上持って行かれても生涯年に10億円以上もの収入が約束されておる。
実に羨ましい限りでござる。野球などやらなくても大谷殿はビジネスセンスがありそうだから上手くやっていくことじゃろう。ただ、勝っても兜の緒をしめるのは難しかろう。イチロー殿や野茂殿のハングリー・スピリットが、大谷殿にはあるのかどうかは分からぬ故、金満的な生活環境に溺れず、ファンを魅了するかどうかは彼のプレーを察して見届けるほかは無い。
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