<天正戦国小姓の令和見聞録0180>
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お屋形様:上杉道満丸景虎
見聞録検め:小姓
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◆天正四百五十二年 壱月十三日
「天正四百五十二年戦国小姓の初夢」
天正四百五十二年の年明け早々色々とござった。小姓には初夢を見る暇などはござらぬが、見てしまったものは致し方ござらぬ。許されよ。拙者は文芸武士になり損ねた不埒な人間ではござるが、お屋形様の目を盗んで一時は文芸の興行に参加しておった時がござった。そのときの戯れの書状がござる。夢は夢ではござるが嘘から出た誠もござれば。。。
瓢箪から駒、晴天のへきれき、寝耳に水、嘘から出た誠、という言葉がまさしく今の自分に最もふさわしい。幼少の頃、叔父の背中から大人の大衆小説を盗み読みする日々が続き、祖母からご先祖が御館の乱での落ち武者狩りで命からがら逃げ延びたという話を毎日のように聞かされていた。今でも祖母の話の面白さを思い出す。半世紀が経ち、ある日無性に戦国時代の事が知りたくなり、春日山城へも幾度か足を運び、地元の城跡を訪ね、時代考証や相関図の作成を重ねるうち、知らず知らずのうちに短編を書き連ねていた。出来あがった原稿を何人かに読んでもらい、感想を得たが一体歴史に詳しい方々ではどういう見方なのだろうかという不安の中、某誌の新人賞に応募してみた。広告代理店時代からの二、三十年ほどの素人の筆歴だけでは一次選考も無理だろうと当然思っていた。作品の推敲を重ねて行くうちに登場人物への愛着が生まれ、意思疎通ができたと勝手に思い込む。そこに読者が一人でも良いから立ち止まってくれないかなという自分もいた。年齢も結構いっているし作家デビューなどは夢のまた夢と思っていた。日々後世に残る遺作をという覚悟はあるものの、ご先輩の先生方からの厳しいご指導とご鞭撻を賜る機会があれば、まだまだ創作を続けていける自信が湧いてきそうな気がする。」
このような事になればよろしいが、尊敬致すお屋形様の半世紀を綴っておこうと思っただけでござる。令和の時代には文芸武士の強者がうようよと徘徊しておる故、ま、拙者では無理でござろう。。。
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